雑記

精神医学の歴史を調べていて思ったこと

投稿日:2017年10月18日 更新日:

人間の心って、不思議ですよね。

思ってもいなかったことを口走らされたり、度忘れしたり。

自分の心ほど自分に近くてかつ、ままならないものは他にないのではないでしょうか。

そんなことを思う最近、昔から興味のあった心理学に再び興味が湧き、精神医学の巨人、「ジークムント・フロイト」について調べています。

フロイトといえば、「無意識」の働きを重視し、「夢の分析」を行ったことや、人の成熟の度合いを「口唇期、肛門期、男根期、性器期」等に分類し、そのどの段階に固着しているかによって、形成される人の性格を分析するなど、「精神分析学」として多くの功績を遺した人物です。

精神病患者の扱い

そうやって調べていくうちに、私の中で少し引っかかったものがありました。

それは何かというと、「精神病患者というのは、どのような扱いを受けていたか」ということです。

<古代>

古代において精神病は、神や悪魔がとり憑いたものとみなされていたようです。

患者に善なる神が憑いたと見なされた場合は神聖視され、悪となる魔がとり憑いたと見なされた時には差別と迫害の対象となり、その時々によって対応に違いがあるものの、人々は精神病を「神や悪魔等の仕業」と捉えていました。

それが、紀元前400年ごろに古代ギリシアの医者「ヒポクラテス」が、医学を原始的な迷信や呪術から切り離し、臨床と監察を重んじる経験科学へと発展させました。(様々な功績が後の西洋医学に大きな影響を与えたことから、ヒポクラテスは「医学の父」と言われています)

ヒポクラテスや古代ローマの医学者ガレノスらは、精神病を神聖病などではなく「脳の病気」と考えており、迷信性は払拭したものの、その原因や治療法を究明・確立することは出来ませんでした。

<中世>

中世のヨーロッパではキリスト教が全盛期であり、宗教的観点から精神病患者は「悪魔憑き」「魔女」等と呼ばれて迫害され、時には火あぶりの刑に処されることもあったそうです。

また、時代が進んでも処遇は相変わらずで、精神病患者は収容所等に隔離され手足を鎖などでつながれ、治療と称して拷問器具を使用されるなど、非人間的な扱いを受けていました。

<18~19世紀>

18世紀に入ると、啓蒙思想(自然の光を自ら用いて超自然的な偏見を取り払い、人間本来の理性の自立を促すという思想)の影響を受け、ヨーロッパ各地で精神病者への非人道的な扱いに反対して立ち上がる人々が現れ出しました

中でも、1793年にフランスの精神科医フィリップ・ピネルが、精神病者を鎖から外して解放したことが有名です。

ピネルは、患者を人間として尊重し、病人として治療を受ける権利があるとして精神病院の改革運動を推進し、後に「近代精神医学の父」と言われるまでになりました。

その後精神医学はフランス・ドイツを中心に発展し、1899年エミール・クレペリンによって精神疾患が「早発性認知症」と「躁うつ病」に二大別され、1911年スイスのオイゲン・ブロイアーによって「早発性認知症」は「統合失調症」と改められました。そしてその同時期、フロイトも「精神分析」をもって神経症患者の治療にあたっていました。

この頃、フロイトの精神分析の治療に限って言えば、患者は寝椅子に横になり、分析者は患者から見えない位置に座る。そして、頭に浮かんだことを全て言葉にしていくという、「自由連想法」を用いていました。

少し前まで精神病者は手足を鎖でつながれ、非人間的扱いを受けていたことを考えると、随分と変化しましたね。患者は自由を奪われるどころか寝たままの楽な状態で、しかも自分が思いついたことを、例え分析者に失礼な事であっても何でも話すことができ、それを聞いてもらえるのですから。

いや~心の底から、フィリップ・ピネル万歳!ですよ。

フィリップ・ピネル(1745~1826)

 

後から見ればおかしいけれども…

ただ、あとから見ればおかしいと分かることでも、当時の人々はそれが「治療」もしくは「解決法」だと思っていたわけです。

中世の精神病者に対する火あぶりなどは明らかにおかしいですが、その当時の人々は「こいつらは悪魔に憑かれているから殺されて当然なんだ」と思っていたでしょう。

線で見ればおかしいことでも、点で見るとおかしいことだと思わなくなるのが人間だということで、翻って現代の我々自身の事を考えてみると、もしかすると「これが正しい」と言われていることが、実は皆目根拠のない事であったりするのではないかと思うんです。

例えば、まあ医学繋がりで考えてみると、風邪で熱が出て病院に行きます。医者にこれこれの症状だからこれこれの薬を出しときます、と言われて薬をもらいますよね。そこには疑いの余地はありません。医者は「専門家」で、「病気に利く薬が分かっている」はずだという先入観をすでに我々は持っています。

しかし、その出された薬、本当に利いているのでしょうか?

中には、「風邪等というのは人間の体の自然治癒力で、休んでいれば治るものだ」という意見もあり、また薬を出せば「診療報酬の点数」が上がって儲かるから、医者は薬を出すんだという意見もあります。

もちろん、その真実は分かりませんし、調べることなど出来ません。

しかし、「現代の医学は進歩しているから間違いなどないんだ」という根拠のない思い込みは、厳に慎むべきではないでしょうか。現在用いられている薬が、実は現在進行形で「利くか、利かないか」壮大に実験されているという可能性もないとは言えません。

それはもしかすると、中世の人々が「精神病者は悪魔憑きだから殺しても構わない」と思い込んでいたことと何ら変わらないのかもしれません。根拠のない思い込みという点で。

正直、現代は情報が溢れすぎて何を信じたらいいのか分からなくなっている面があります。

だから、自分自身がしっかり主体性を持って、情報を判断していくことが重要になってくるのではないでしょうか。

古代、迷信にあふれていた時代に、「精神病は脳の病気だ」と喝破したヒポクラテスのようにありたいものです。

ヒポクラテス(紀元前460年頃~紀元前370年頃)

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