最初は本の内容全てを書こうかと思ったのですが、本を読んでみてですね、これはちょっとあまり書かなくてもいいか、というものがあったので省略する部分があります。(具体的には第1部の8です)
なので、今回は徴用工訴訟にも関係する、第1部の9から書きたいと思います。
動画形式の方が良いという方は下の埋め込みからどうぞ。
(日韓請求権協定について)
日韓請求権協定のあらまし
9.もともと請求できるものなどなかった-請求権協定の真実
【内容】
・1965年における日韓請求権協定に関して、韓国側は請求のごく一部しか貫徹できず、屈辱売国外交だった。具体的には、35年間支配された韓国側が受け取る請求権金額3億ドルは、わずか3~5年占領されただけの東南アジアの国々に比べてあまりにも少ない。(フィリピン5億5千万ドル、インドネシア2億2300万ドル)
更に、日本に対する個人の請求権は消滅していないのだから、日本企業は元徴用工らに対し新たに賠償する必要がある。(2018年、韓国大法院における判決)
【真偽】ウソというより、無知による誤解・解釈の間違い
→太平洋戦争の戦後処理条約であるサンフランシスコ平和条約において、韓国の国際法的立ち位置というのは「日本に対する戦勝国」でもなければ「植民地被害国」でもありませんでした。過去韓国は日本の一部であり、日本の敗戦によって「分離された地域」とみなされたので、両国国家と国民の間で財産及び請求権を相互整理することになりました。(韓国側に対する一方的な賠償ではなく、民事上の財産権の整理であり、日本側にも請求権があった)
そういう流れがあったので李承晩政権は、被害賠償ではなく、財産返還に対する請求として日韓会談前に「八項目要求」を出しました。
ここで、日韓会談請求権委員会の初会議での韓国側代表・林松本の説明を見てみると、
「大韓民国は、36年間の日本の占領によって生じる不快な過去の記憶により促されるすべての請求権の充足を日本に対して要求する意図はなく、ただ、韓国に合法的に属し、そして将来の韓国の生存のために充足されなければならない財産に対してだけ、その請求権を要求する。」
と、韓国側自身で、植民地支配に対する請求の充足を意図していない、と明確に述べています。最初から植民地支配に対する賠償という性格は持ち合わせていなかったということです。
そして、それに対し日本側は在韓日本人の財産に対する請求権を提起しました。日本が韓半島に残した財産は民間人のものも含め52億ドル超(韓半島総財産の85%)あり、そのうちの22億ドルが南韓にありました。
「ハーグ陸戦法規」という国際法では、交戦当事国間でも私有財産の没収を禁じていましたが、それに反してアメリカは日本人の私有財産を没収し、1948年それらを含めて韓国政府に譲渡していました。その返還を日本は求めて請求権を主張したため、会談は膠着状態に陥り、アメリカが仲裁意見を出すことになりました。それによると、
「韓国内の日本人の財産は没収されたもので、日本はその財産に対して何の権限も主張も要求も出来ない。しかし、在韓日本人の財産の取得により、韓国の対日請求権はある程度充足され、それがどの程度充足されたかは両国間で決定するように」
ということでした。
これで日本側は請求権の主張を撤回し、後は韓国側からの八項目要求の審議となりました。(この第五項目に被徴用労務者の未収金の返済、というものがあり日本側は7700万円程度を認めている)
最終的には韓国側の7億ドルの主張に対し、日本側が認定した額は最大でも7000万ドル程度に収まりました。しかし韓国側としては10年間続いた請求権協定の交渉をこの金額で終わらせることは出来なかったため、日韓両国は無償3億ドル、有償2億ドルのお金を、名目上日本側は経済協力金として、韓国側は請求権資金として受け取る、という形にして妥結しました。
結局韓国側が請求できるものというのは、最大でも7000万ドル程度のものでしかなく、ほとんど請求できるものなどなかったということでした。しかし、アメリカから22億ドルもの私有財産を含む財産と、日本から5億ドルの経済協力金を受け取ることで、実際は他の国よりはるかに莫大な財産を手にしていました。
個人請求権の問題は…?
そして、日韓協定によって個人の請求権が消滅したことは韓国政府が何度も表明しています。
・「我々としては李東元-椎名合意事項により、一旦個人関係請求権が消滅したことが確認され…」
(1965年4月17日、韓国の李圭星公使と日本外務省条約局の佐藤参事官との面談時の言葉)
・「財産及び請求権問題の解決に関する条項で消滅する我々の財産及び請求権の内容を見れば(中略)被徴用者の未収金及び保証金に関する請求、韓国人の対日本政府及び日本国民に対する各種請求等が、完全にそして最終的に消滅する」
(1965年7月『大韓民国と日本国間の条約及び協定に関する解説』大韓民国政府)
では、最近韓国の大法院で下った元徴用工(実際は募集工)に対する補償とは何なのでしょうか。
いわく、請求権協定は財産上の債権債務関係だけを扱い、「損害と苦痛という精神的被害」に対する請求権問題は扱わなかったため、個人の請求権は有効だ、と判決では言っています。
しかし、韓国は協定の交渉時、国際法的に植民地被害国ではなく「日本から分離された地域」という立場で、しかも韓国側が自ら植民地支配の被害に対する賠償ではなく、韓国側財産の返還要求であると決定していたので、徴用労務者の精神的被害はもともと請求していませんでした。それに日本政府は徴用後生還した日本人には補償をしなかったので、バランス上、当時日本国民だった朝鮮徴用労務者の生還者に対しても補償はしないという立場でした。つまり、被徴用労務者の植民地被害者としての補償請求権というのは、最初から存在しないものなのです。
この本の著者である李栄薫が言っているように、韓国人は1965年の請求権協定によって、徴用工など個人の請求権も含め、一切の過去史が清算されたことを認めなければならないのです。
そもそも「徴用工」じゃないし
以前の記事『「徴用工」でも手のひら返し!』でも書いたように、この裁判で勝った元徴用工の4人と言うのは自称で、当時就労の「募集」に自発的に応じて就労した、「元募集工」であることが分かっています。
つまり、「被徴用者の精神的苦痛に対する補償」というのも全くの的外れなデタラメなわけですよ。徴用で就労したのではない人たちですから。
日本を貶めるためならどんな嘘をついても許される---ふざけるな!チョン!ですよ。
では、今日はこの辺で。