北朝鮮・韓国 朝鮮の歴史

反日種族主義を読んで⑷-慰安婦問題1-

投稿日:2019年11月30日 更新日:

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第三部は、見出しが18から22までありますが、全て慰安婦関連の内容となっています。やはり日韓関係を考える上に置いて、最も重い問題として扱われるのがこの慰安婦問題ですから、1部まるまる、つまり全体の約3分の1を使って詳しく説明してあります。

 

第三部 種族主義の牙城、慰安婦

<慰安婦関連の問題点の内容を先に全体として記述します>

【内容】日本軍は朝鮮の女性たちを強制的に連行し、「従軍慰安婦」として性奴隷にし、多大な苦痛と被害を及ぼした。これは日本が起こした戦争犯罪であるから、日本政府はその罪を認め、公式の謝罪と賠償をせよというもの。

これに対して日本政府は何度も謝罪も賠償金(見舞金など名称はその都度違うが)の支払いも行っているが、韓国側は常に「日本政府は罪を認めていない。心から謝罪をせよ」と言って、金銭は受け取りながら十分ではないとして問題の蒸し返しを行っている。1965年の日韓請求権協定、2015年の日韓合意で慰安婦問題は解決されたはずであるが、韓国側は様々な理屈を付けて再度蒸し返した。現在も解決していないことになっている。

 

では、各見出しごとに著者が述べている内容を箇条書きでまとめていきます。

 

18.我々の中の慰安婦

日本軍が慰安所を設置し慰安婦を置いたのは、1937年から1945年の間

・慰安婦という呼び名は無かったが、性売買産業に従事する女性たちは以前からずっと存在していた。15世紀以来の朝鮮王朝時代から存在し、また日本が敗戦した後もずっと存在していた

・1956年の韓国政府は、性売買産業に従事する女性を「ダンサー、慰安婦、接待婦、密娼」の4つに分類した。「保険社会統計年報」という資料から、性病検査を受けた女性の数が分かり、1955年には総人数が110,642人、1966年には391,713人であった。そのうちの4分の3が20代であり、20代女性の総数に対する慰安婦の比率は、1955年3.2%、1966年は8.1%にものぼった

<韓国軍慰安婦の存在>・1951年朝鮮戦争時、韓国軍は性的慰安を提供する特殊慰安隊(韓国軍慰安婦)を結成した。性交労働の強度は一日平均6.3回という過酷なものだった。しかも、慰安婦を第5種補給品として、補給品扱いしていた。
<民間慰安婦の存在>全国ほぼすべての都市で私娼街が形成されており、約4万人の女性がそこで専業慰安婦として生活していた

・1960年代の調査によって、戦争によって家庭が破壊され、極貧階層の子供として父母の庇護を受けられず、孤児院を転々としたり、家庭の不和で家出をしたり捨てられたりした女性が、女中生活や他の接客業に従事した後慰安婦になるというのが、最も一般的な経路であった。その動機は「生活苦」がもっとも多く、他には「友人からの誘い」、「男からの誘惑」、「売られた」等のケースがあった。これら民間の慰安婦の労働強度は一日平均5人程度で、軍慰安婦からするとわずかに少ないが、相当な労働強度であった。しかし、当時の女性労働者の平均賃金額よりも高水準の賃金だったため、貧困層の女性が毎年一万人以上も慰安婦になっていた。

<米軍慰安婦の存在>・約一万人程度いたとされる米軍慰安婦。米軍部隊が駐屯していた所で基地村が発達し、そこでは民間よりも年齢が少し高く、高学歴な女性が働いていた(米国の軍人と結婚し、アメリカに行くのが目的だったという)。一日平均性交回数は1.7回で、労働強度は大分軽減されており、しかも賃金は数倍額、貯蓄額も多く、米軍慰安婦の境遇は民間のものより良かったと言える。しかし、金ジョンジャ氏の「米軍慰安婦基地村の隠された真実」という資料等で、慰安婦が基地村で殴り殺されたり、病死したり自殺したりしたという、問題点の提起もあった。

<著者の主張>

社会運動家たちは米軍慰安婦の問題は国家の暴力であったと主張しているが、同時代のあらゆるところで発生した私娼街の女性たちはもっと悲惨だった。米軍慰安婦が政府の責任であれば、民間慰安婦はもっと大きい政府の責任ではないのか。そしてこれらの問題を韓米同盟を強化するためだとか、ひいては外貨稼ぎのためだったと解釈することは、あまりにも政治的すぎる

米軍慰安婦と日本軍慰安婦は歴史的属性において同質的であると思われるが、韓国民は米軍慰安婦の問題には特別な関心を示さない。それは日本軍慰安婦に対しては、反日種族主義という集団情緒が作用するため、保護と支援の対象となるのに対し、米軍慰安婦ましてや韓国軍慰安婦にはそれらの情緒が作用しないので、告白することに意味がないからである。その辺りのバランスの悪さも問題である。

 

19.公娼制の成立と文化

日本軍慰安婦制度は、1870年代に日本が施行した公娼制を土台に作られたものだが、それ以前の朝鮮王朝から性支配の歴史は存在した

朝鮮王朝時代には、女婢や妓生(キーセン)といった賤民身分の女性たちは、両班身分の男性たちからいたるところで性暴力を受けていた

妓生の発祥の大元は、1435年朝鮮国王世宗によって制度化された、軍慰安婦制度であった

・日本は1870年代に導入していた公娼制を、1916年、朝鮮で施行し移植した。これによって今までの身分的性暴力の時代が終わり、商業的売春の時代が始まったと言える

・公娼制は、最初は日本人の為の特権的売春業だったが、時間の経過とともに朝鮮人たちも遊郭に出入するようになり、大衆的売春業へと発展していった

・その商業的契約の時代に入り、女性たちが売春業に携わる経過というのは、日本から移植された「戸主制家族」(戸主は家族成員を養育・保護する権利を与えられた、一種の権力者としての家父長)によって、戸主である父親などによって「就業承諾書」に印鑑を押されると、女性側は拒否できないという人身売買の形となっていた。父親が娘を周旋業者に娼妓として売り渡すのは、単に貧困が原因なだけでなく、身分制から急に戸主制家族へと家族の形態を変化させた朝鮮の人たちの中で、下層民が家父長として家族成員の養育と保護を全うする倫理観というものが、十分に育っていなかったことが要因でもある。また、両班階級を自称する人間たちが増えるにつれて、妾を持つ人々が増えたという側面もある。

・女性たちももちろん戸主の決定に反抗して、娼妓になることから脱出を試みたものもいた。しかし、1920年代に始まり、1930年代には「大衆売春社会」と呼ばれるほどになった性産業の発展は、多くの女性たちを否応なく性産業への従事に導いた。また、1931年の満州事変以降、朝鮮人による売春業が活発に成長し、満州、台湾、中国さらには元の日本へ等、売春業の域外進出も活発に進んだ。

<この見出しで著者が言いたいこと>

軍慰安婦制というのは、1937年に日本軍が唐突に思い立って作り上げたものではない。遥か昔朝鮮王朝の時代から身分的性暴力というのは連綿と続いてきた歴史を持っており、その中で妓生や女婢等の性的慰安を提供する身分等も存在していた。それが日本に併合されたことで、形式上身分の差が無くなったことにより、商業的売春業へと形を変えただけのことである。当時の朝鮮には日本から「戸主制家族」が移植されており、戸主の考え一つで女性が周旋業者へ売られたりすることもあった。それは、単純な貧困だけが原因ではなく、戸主が背負う養育や保護の義務等、基本的な倫理観がまだ十分に浸透していなかったことにより、そういう行動が非道徳的であることに思いを馳せられない下層民が多くいたという現実がある。

18・19の記事から筆者の意図するところとは?

こうやって慰安婦の歴史を振り返ったのは、既存の研究がその長い歴史の中で、1937年から1945年の歴史だけを切り出し日本軍の戦争犯罪だと責めている、その欺瞞を明らかにし、欠落した客観性を取り戻すことで、慰安婦の存在に対して正確な理解を得るためであると思われます。

つまり、身分的な性暴力や売春業の歴史はずっとあったという事実を無視して、日本軍がいきなり朝鮮人女性を慰安婦として性奴隷にした、という日本のみを悪者とする狭小な、客観性の全くない研究結果に異議を突きつけ、広域的な視野を持たせるためだと考えられます。

 

長くなるのでこの記事はここら辺で切り、次回に続けます。

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