滋賀県彦根署の河瀬駅前交番で、19歳の巡査が41歳の巡査部長を拳銃で殺害するという、おそろしい事件が起きました。
事件の詳細は、すでに色々なメディアやブログ等で書かれていますので、ここでは説明を省こうと思います。
ただこの事件の一番不可解な点は、なぜ拳銃で殺害しなければならない程、この19歳の巡査が激高したのか、という所だと思います。
逮捕されたこの巡査は、「罵倒されたので撃った」と言ったそうですが、どんなことを相手から言われたら、拳銃で撃とうと思うまでになるのでしょうか?
ネットの意見でも「こんな人間に銃を使わせるのは危険」とか、「治安を守るべき警察官が殺人、しかも同じ交番の警察官を!許されることではない!」などという意見が並んでいました。
確かに、どんなことを言われようが、殺人を犯してしまった方が100%悪いのは間違いありません。
しかし、拳銃で撃ち殺すというのは「あまりに飛躍した行動」ではないでしょうか?
少し、その辺りの心理を考えてみたいと思います。
理想と現実のギャップがあまりに酷かったのか…
これから書くことは単なる私の推測にすぎません。
19歳の巡査を擁護するとか、そういうことを目論んでいる訳ではなく、純粋にその心理を推測してみます。
まずこの19歳の巡査についての情報では、高校時代の友人や恩師が「部活動を休まずやり遂げ」、「非常にまじめな生徒だった」と言っています。
そして、部活動は野球部だったということで、恩師の「大学で野球をやったらどうか」という言葉があったにもかかわらず、警察官になりたいという強い思いがありその道に進んだそうです。「後輩思いで練習も休まず参加する真面目な生徒」だったという、ある意味非常に理想通りな人間像ですよね。そして警察官になれた時は非常に喜んでおり、「交番で働き、市民の身近な存在になりたい」と言っていたとのこと。
ここから分かることは、この巡査は非常にまじめで、警察官という仕事に理想を抱いていたということが分かります。恐らくですが、現実の警察官の状況よりも、ドラマや映画で出てくるような、一般市民に優しく正義感が強い、「強きをくじき弱きを助ける大衆に愛されるおまわりさん像」を理想像として持っていたのではないか、と思います。 |
これまで、この巡査は理想を追いかけてそれを今まで達成してきたんですよ。
そして、「警察官になるまで」はうまくいっていたんです。
ところが、「警察官になってみると」、色々と理想と違う部分が一気に出てきたのではないかと。
例えばですよ、この巡査は「交番で働き、市民の身近な存在になりたい」と言っていたそうですが、その思いを聞いた巡査部長が、「何を青臭いことを言っているんだよ。交番の巡査なんて下の下だよ。キャリア組に入らないとどうしようもないんだよ!」等と、若い巡査の夢や理想を思い切りぶち壊す発言をしていたとか。
少し考えれば分かることですが、社会的な階級の差はあっても、交番のおまわりさんも、警察庁でデスクワークをしているキャリア組も、どちらも必要な存在です。
ところが、巡査部長は自分が持っている劣等感を若い巡査に押し付け、押しつぶそうとしたと。
巡査部長としては、自分が今まで勤めてきたことで得た考えを伝えただけだったのかも知れませんが、若い社会経験のない巡査にしたら、「自分の持っていた理想とあまりにもかけ離れた警察官の現実」というものを見せつけられて、そのギャップによって精神錯乱をおこしたのではないか、と思います。
この巡査にとったら、警察官というのは人を罵倒するような人種ではない、という思いがあったのかもしれません。
また、この巡査と巡査部長は、交番に配属されてから顔を合わせた間柄で、付き合いの期間としては三か月程度しかありません。
それなのに積年の恨みという程のものがあるわけもなく、あるとすればやはり「自分自身の信条とか信念とか誇り、理想」など、人が生きていく上で「目には見えないけれど大切なもの」を踏みにじられた時、そういうケースにしかこれほどの殺意を抱く可能性はないのではないかと思います。
そういう場合に、この巡査の非常にまじめで理想主義的な性格が裏目に出て、現実は現実、理想は理想と分けて考える柔軟な対応が出来ず、「こんなのは自分の理想と違う!こんなはずではない!」という思いが弾け飛び、自分の理想をかき乱す「現実」としての巡査部長を、「銃撃」という形で「消去」しようとしたのではないでしょうか。 |
この若い巡査にとって、これが初めての挫折体験だったのかもしれません。
何事もそうですが、極端すぎるのはあまり良い結果を生まないような気がします。それが例え一般的に「良い」とされることだったとしても。
私の予測では、この若い巡査は若さゆえもありますが、まじめすぎて理想主義過ぎたのではないかと思います。
…これで私の推理を終わります。真相が報道されるかどうか分かりませんので、合っているかどうか確認できないかもしれませんが、二度とこのような事件が起きないよう、心から祈っています。
|
|